水について

水はコーヒー・紅茶の味を大きく左右します。飲んでおいしくない水はコー ヒー・紅茶にも向きません。しかし逆に飲んでおいしいからと言って、必ず しもコーヒー・紅茶に向くとも限らないようです。

水の味に影響する主な要素

 

水の硬度

  水に溶け込んでいるカルシウムとマグネシウムの濃度を表す数値です。   現在、主に使われている硬度はmg/L、もしくはppm単位で表示されて   います。これは具体的にいうとカルシウムとマグネシウムを炭酸カルシ   ウムに換算した濃度で、   硬度=Ca濃度×2.5+Mg濃度×4   でおよその硬度を求めることが出来ます。    ※まれにドイツ式(1°=17.85 mg/L)の表示もあります。   硬度の高い水を硬水、低い水を軟水といいます。日本では100ppm以下   を軟水、200ppm以上を硬水とし、その中間を弱硬水と呼びます。   この基準は国によって異なり、もともと自然水の硬度が日本の5倍くら   いの高さであるヨーロッパなどではこの5倍を基準とします。   硬度が高くなるにつれて癖のある味になる傾向があり、人によっては飲   みにくく感じることもあるようですが、極端に硬度の低い場合も逆に味   気なく感じることがあります。   一般にコーヒーや紅茶にはあまり硬度の高いものは向かないとされます。   また紅茶や緑茶は硬度に敏感で、緑茶は硬水だと甘く、軟水だと渋めに   でると言われます。紅茶ではダージリンでは硬度50以下、セイロンでは   100程度、アッサムをストレートで飲む場合は300ぐらいが最適という報   告があります。コーヒーはこれほど硬度の影響を受けないと言われてい   ますが、硬度50以下の軟水で淹れると苦味ばかりが出て酸味やコクがな   いという場合があるという報告や、逆に硬水で淹れると酸味が引き出せ   ず、やや泥っぽい繊細さに欠けるものになるという報告があります。  

カルキ

  一般の水道水にはカルキが加えられています。水道管内や蛇口での菌の   繁殖の防止が目的ですがいわゆるカルキ臭さ(塩素臭)の元になります。   カルキを抜くには、1)十分に沸騰させる。2)汲み置きで一晩ほど置   く。3)浄水器を使う。などの方法があります。    ※カルキとは別名サラシ粉のことです。水中で次亜塩素酸イオンにな     り殺菌作用を発揮します。長時間放置すると空気中に逃げていきま     すが、沸騰させたり浄水器を通すことで逃げるスピードが大幅にア     ップします。   またカルキによる有害な副生成物としてトリハロメタンが問題になって   います。これは湯を沸かす際、加熱によって生じますが、煮沸や汲み置   きで減らすことが可能です。  

溶存ガス

  水に溶け込んでいる酸素や二酸化炭素の量も味に大きく影響します。特   に酸素を多く含んだ水は、飲んでおいしく感じられると言われています。   これらのガスは煮沸したり、汲み置きにしておくと失われてしまいます。   これが湯冷ましがまずくなる原因の一つです。煮沸や汲み置きはカルキ   をとばすのには有効な手段ですが、あまり長時間続けるのは味の面では   逆効果です。   同様に沸かし直しも一度沸騰で減ってしまったガスをさらに減らすこと   になりますから禁物です。   また、溶存ガスが少なくなると、紅茶を淹れる時にジャンピングが起き   なくなることも指摘されてます。

コーヒー・紅茶に使う水とその特徴。

 一般にコーヒー・紅茶に使う水は 1.硬度が比較的低い軟水であり、2.  カルキ臭などの異臭のない、3.十分にガスの溶け込んでいるものがいい  とされています。これらの条件から実際に使われている水を考えてみると  

水道水

  日本の水道水はその地域によって差がありますが、どれも軟水であると   考えて差し支えないでしょう。地域によってはそのままでも十分おいし   い水道水もありますが、都市部などでは残念ながらカルキ臭などのせい   でコーヒー・紅茶への使用に耐えないものも多いようです。   コーヒー・紅茶に水道水をそのまま使うのでしたら、もちろん水道水が   おいしい地域であることと、カルキを抜くために沸騰させることが必要   でしょう。  

浄水器による浄水

  最近はいろいろなタイプの浄水器が市販されていて、水道水の欠点を手   軽にカバーできるようになっているようです。非常に沢山のタイプがあ   りますが、どれもカルキ臭や異臭、トリハロメタンなどを除くのには十   分力を発揮できるようです。ただし、一度カルキを抜いた水には雑菌な   どが繁殖しやすくなることが指摘されていますので、早めに使いきるよ   うに心掛けた方がよいようです。  

アルカリイオン水

  最近では浄水だけでなく、アルカリイオン水と呼ばれる水を作る家庭用   の製水器も多く出回っているようです。   ただしコーヒーや紅茶の抽出を行うとタンニンなどの成分が沈澱を生じ   クリームダウンと呼ばれるような白っぽく濁ったものになることがあり   ます。  

天然水

  地域によっては湧き水などで、名水とよばれるようなおいしい水が手に   入るところもあるようです。  

ミネラルウォーター

  コンビニなどで多くの銘柄の、いろいろなものが売られています。カル   キ臭などの異臭はまずありませんが、硬度の低いものから高いものまで   様々ですのでコーヒー紅茶用にはあまり硬度の高くないものを選ぶとよ   いでしょう。一般に国産のものは硬度が低い傾向にありますが、加熱殺   菌のために溶存ガスが少なくなっているようです。使用前にビンの蓋を   閉めて振り混ぜるとおいしくなるという指摘があります。外国産のもの   は硬度もさまざまですし、発泡水も含めて加熱していないものが主流の   ようですので、この限りではありません。   なお、ミネラルウォーターは本来、無機塩類を含む水のことを指します   が、農水省ではミネラルウォーター類(容器入り飲料水)として以下の   4つに分類しているそうです。   1、ナチュラルウォーター   その原水は特定の水源より採水された地下水であることが条件であり、   処理方法としてはろ過、沈降、および加熱のみが認められている。   2、ナチュラルミネラルウォーター   その原水は特定の水源より採水された地下水であることが条件であり、   しかも地下で滞留、移動中に無機塩類が溶解したもの。   処理方法としてはろ過、沈降、および加熱のみが認められている。   3、ミネラルウォーター   ナチュラルミネラルウォーターの原水と同じであるが、   複数の原水を混合したり、ミネラル成分を調整したもの。   処理方法としてはろ過、沈降、加熱以外にオゾン処理、   紫外線照射などを施している。   4、ボトルドウォーター   飲用に適する水であり、純水、蒸留水、河川の表流水などが原水である。   処理方法としては何の限定もない。 (Written by tambe)
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